The Dream of the Blue Pines

Experience live music and performances in London (and in other places...)

Monday, July 09, 2007

Gwyneth Herbert

16 June 2007
606 Club, London

Metheny/Mehldau

1 July 2007
Barbican, London

Hiromi Uehara

22 May 2007
ronnie Scotts, London

Monday, March 26, 2007

Liane Caroll


25 March 2007
606 Club

A Midsummer Night's Dream by Tim Supple


24 March 2007
The Roundhouse, London

Wednesday, March 14, 2007

Maly Drama Theatre of St Petersburg: Platonov


13 March 2007
Barbican Theatre

セント・ペテルスブルグの劇団による、ロシアの作家チェーホフの、初期の作品『That Worthless Fellow Platonov 』の上演。
イギリスでは大評判で、この7年くらいで5度目の再演になるそうです。
劇場は、開演前から周囲からはロシア語ばかりが聞こえてきて、なんとなく雰囲気や人々の服装も普段と違う感じ。どことなく重厚な感じが漂っています。さすがコスモポリタンなロンドン。
ロシア語による上演で、字幕がステージ上部の電光掲示板に出る仕掛け。前から4列目の席だったので、ステージと字幕を交互に見るのに首がちょっと疲れるのが失敗。でも、ある程度登場人物の関係などが把握できると、それほど字幕に頼らずにも大筋は辿れるもの。字幕は遅かったり、すごく簡略してるので、周囲でロシア人が笑うタイミングとはあわないけれど…

19世紀のロシアの、田舎の金持ちの家で起きる物語。舞台は、東欧の鉄道の駅のイメージだそうで、ひな壇のような3段構成で、手すりのついた木製のデッキ風なのだけれど、これで建物の中と外、2階、を現すしくみ。2段目のデッキの下に、小さなプールがあって、ここが「川」という設定。シンプルながら、すごく厚みのある構造で、前面で何かドラマが起きてると、後ろでもそのほかの登場人物の動きが見えて、舞台に深さが出ます。
内容は、大邸宅ながら借金だらけの未亡人の娘が結婚することになり、その祝宴にお婿さんの友人プラトノフが出席。彼は学生の頃、将来有望と皆に期待されながら、今は結構しがない教師をやってる。結婚する娘と以前関係があり、今もお互い思いが断ち切れない…というのがひとつの話。でも彼のセックスアピールはすごくて、妻ある身ながらも、ストーカーのごとく付きまとう娘もいるし、結婚した娘の母である未亡人までもその魅力に屈している。どの人にも気をもたせてしまって、ややこしくなって…って感じのドラマ。
物語そのものは、かなり19世紀ロシア的に大仰でもったりしてると思うのだけれど(それが魅力でもあるのだけど)、それを見せてしまうのが俳優の力。恋愛劇にからむ男女のほか、借金にからむ金持ちのおじさん連、そして’従業員’の男達という感じで、結構キャスト数は多いのだけれど、皆すごい芸達者で、それぞれ楽器ができ、トランペットやホルン、ピアノやドラム、バイオリンなどで、劇中の音楽は全部演奏してしまう。演技も体当たりで、踊る歌うはもちろん、水中に飛び込む、全裸になる、ピストルやナイフの流血騒ぎはある…と、盛りだくさん。
上演時間は3時間を越える大作で、さらに外国語なのに、ずっと集中が途切れないで見せるのはすごい。でも、なんといっても、この作品をチェーホフが書いたのは20歳前後だったらしい…というのが驚き。

Hazel Hannan Qualtet


11 March 07
Cafe Consort - Royal Albert Hall


ジャズピアノを一緒に習っている友人は、実は歌手として活動中。通常は結婚式などプライベートな宴会などで歌うことが多いらしいけれど、今回は天下のロイヤル・アルバート・ホールのフリーイベントで演奏!…カフェとはいえ、結構いい会場なので、いつもピアノのクラスの後でパブで集まる仲間が、家族連れで繰り出しました。
ヘイゼルは、本当に明るい性格で、皆の人気もの。音楽というのは、演奏する楽器などで結構人格が出て、ピアノを弾く人はちょっとシャイで頑固で頭はいいけどムズカシイ男が多いのですが、歌を歌う人というのは、一般的に明るくて社交的。ヘイゼルは、その明るさで、気難しいジャズピアニストの面々を和ませている存在。
ピアノ、ベース、ドラムのトリオと歌、という構成。選曲などはヘイゼルが担当。Day In, Day Outなどのジャズのスタンダードや、ボサノバの巨匠アントニオ・カルロス・ジョビンの曲など。私のお気に入りは、彼女が初めて人前で歌うというバラードWillow Weep for Meや、私たちがピアノで練習したSong for My Fatherなど。
普通、カフェなどで演奏してても誰も聞かないけれど、今回はかなりみな真剣に聞いてて、盛大な拍手が起きました。やるじゃん、ヘイゼル。

Rock'n Roll


February 2007
Duke of York's Theatre

現代のイギリス劇作家トム・ストッパードの新作。『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』という戯曲で有名な作家で、映画『恋するシェイクスピア』の脚本も手がけた人。
この「ロックンロール」は、チェコ人である自身のルーツに戻り、1968年から90年代までのイギリスとチェコを舞台とした物語。ケンブリッジに住むマルクス主義の英国人の教授と、その教え子でロック大好きなチェコ人の学生が、共産主義のプラハに戻ったところからの物語。プラハの春、など、当時のチェコの歴史、そしてヒッピーとロック全盛の60年・70年代のイギリス。年代も場所も飛び回るのを、回転式の舞台で見せる。年代が変わるごとに、ボブ・ディランやピンク・フロイド、ジョン・レノンなどの曲が流れる。観客は、まさにその時代の空気を吸い、体験した人も多いから、曲ごとに反応するし、歴史もお馴染みだ。
私の世代の人だけではなく、連れてこられた10代の子達も絶賛する劇。私の友人も、「3時間の長い劇だけどあっという間だった」という。だけど、哲学的思想とユーモアをあわせもち、言葉遊びなどを取り込んだ台詞回し、インテリな遊び心ある戯曲…なので、ちょっと外国人にはとっつきにくい側面もあるかも。ケンブリッジの教授のギリシャの古典詩を語る議論などは、かなり難関。正直いって、細かい内容は見ている間にはついていけなかったところもあり、後で戯曲を読みました。

Compagnie Philippe Genty : La Fin des Terres (Lands End)


19 January 2007
Queen Elizabeth Hall, South Bank Centre


ロンドンのマイム・フェスティバルの一貫で上演されている、フランスのフィリップ・ジャンティー・カンパニーの舞台。
私は知らなかったけれど、世界的に有名な劇団(舞踏団?)で、日本でも何度も上演している様子。
舞台は、劇でもダンスでもマジックでもなく、でもその全て、であるようなビジュアルアート。
オフィスのデスクに向かった等身大の男の写真。舞台の別の場所に現れる、マジシャン風の男。彼がダンスをしている間に、ポン!写真は実際の男に…そして彼は、謎の女を追っていく…と、筋があるようで、ないような、夢のような展開。舞台は突然雲のような大きな紙風船になったり、電車のようになったり、人物は突然消えてしまったり、大きな人形になったり、皆が筒になってぴょんぴょん跳ねたり、クモのような昆虫のような人形とダンスをしたり…と、ことばで説明をしても、何のことやらさっぱりわからない、ビジュアルならではの展開。
その全くプロットのない話の展開が、わけのわからぬ夢を見てるようで、その流れの心地よさに、私はすごくはまった…

…のですが、面白いのが一緒にいたイギリス人の反応。紹介してくれたのは、自らもパフォーマンス・アーティストなんだけど、「ストーリーはないから」という忠告。で、一緒にいたイギリス人ふたりは、演劇も音楽も大好きな人たちながら、「うーん、なんかポイントがぼけてて、妙に長すぎたりして、フォーカスがない」という反応。さらに、その後飲みにいった席に加わった男性に舞台を説明してると「で、ストーリーは?」という質問。
ああ、イギリス人は、ストーリーが大事だし、逆にストーリーがないものって難しいんだ…と、いろんな意味で納得。これは小説を書いていても反応として感じるけれど、外国映画などでイギリス人にウケる作品、ウケないもの、の基準が見えてきたような。フランスとか、日本の作品って、かなりストーリーあいまいで、雰囲気とか感覚的な感じ。それがイギリスの小説などの視点になれてると、ものすごく詰めが甘く思えるときがあるんだけれど。CMの作り方にもその違いがみられるし。自分の書いたものが、時々「?」って思われるのも、こういう視点があるんだ。なんとなく、ひとりで納得納得しているところ。

公式ウェブサイト
http://www.philippegenty.com/FINDESTERRES/FindesTerres.html

http://www.seeitfirst.co.uk/limf/philippegenty.html

Russian Festival

13 January 2007
Trafalgar Square


ロンドンのトラファルガー広場では
ロシアの新年を祝うイベントが盛大に行われている。
すごい人ごみ。

私の友人ロシア人のナターシャさんは、
ペレストロイカ前の旧ソ連で、
まだ’違法’だったロック・グループを支援し、写真を撮影していた、という人。
ロンドンに来てから、全くの素人なのに、ひとりでロシアの本を英訳する出版社を立ち上げ、その当時の写真や、西欧には紹介されていないイラストレーター、作家などの本を出している。すごく面白い本なのだが、やはり素人だし売り上げを軌道にのせることができなくて、苦労してる。
こういう場所で紹介できてたらいいなあと思っていたので、のぞいてみる。

しかし。
大きなステージやスクリーン、屋台を出していると大騒ぎなくせに、紹介される内容は、’ピロシキ、コサックダンス、マトル-シュカ’的な、既に誰でも知ってるようなものばかり。音楽家は、皆伝統音楽とか、ブラスバンドみたいなものばかりだし、屋台なんて、観光局のパンフとか、せいぜいピロシキ程度。
日本文化紹介といって、フジヤマ/ゲイシャ的に、折り紙しちゃうレベルの話である。
ロンドン市長まで登場するイベントといって、これかい…と思うけれど、所詮行政のやることなんてどこの国も同じで、多分ロシア・マネーが裏で動いている、政治的な意図だけで、文化なんてどうでもいいのだ。
それにしても、お祭りであれば何でもいい的に、集まって騒いでる人もどうかと思うよ。ロシア語もかなり聞こえたけど。

http://www.london.gov.uk/mayor/russian_festival/index.jsp

Monday, November 20, 2006

Bret Kean Qualtet

18 November 2006
Hugo's, Queens Park, London

Monday, October 30, 2006

Hiromi Uehara

29 October 2006
Ronnie Scotts


Hiromiこと上原ひろみさんのロンドン公演は、昨年7月以来2度目。昨年は同じ老舗ロニー・スコッツで、演奏前に短時間ながらインタビューさせてもらいました。飛行機が遅れて、すごくハードなスケジュールで疲れきっているのに、サウンドチェックのためにピアノに向かうと生き生きと笑顔に!そのエネルギーがすごい。ガッツと根性と指の筋肉で、世界を拓いています。その彼女のCDに励まされ、私自身もロンドンでがんばろう!という気持ちになります。
その後1年で3枚目のアルバム「スパイラル」で大成長し、いまや日本ではすっかり有名になりました。イギリスでもジャズ好きの人には人気がありますが、一般的な知名度はまだ高いとはいえません。でも、ライブに連れて行った友人・知人は、誰もが大ファンになります。もっと聞いて欲しい!という気持ちで、イギリスのジャズ専門誌のウェブに寄稿した記事がこちら:

http://www.jazzwise.com/magazine/060/

This was Hiromi’s second appearance at Ronnie Scotts. Since the last, in July 2005, her third album Spiral has brought her international accolades such as the 2006 Boston Music Award for Best Jazz Act and the Rising Star Award at Cork Jazz Festival, to list just the most recent ones, as well as the Japan Jazz Award of the 39th Jazz Disc Grand Prize, for the best Jazz album by Japanese artists in 2005.
As always, she blew the audience away with her acrobatic piano skill with her opening tune, XYZ. The ‘policy’ of her gig is that the audience can scream or express emotion at anytime, she said, (which was a bit challenging for the audience of mainly British and Japanese), and she herself turned into a Keith Jarrett, singing along as she played, and banging the keys with her elbows.
Energy and joy pouring out of her tiny frame, she can not be pigeon-holed in one particular music genre. Her classical back ground is obvious in some dynamic pieces (Spiral), but she also paid musical tribute to Jacky Chen and Bruce Lee (Return of Kung-fu World Champion) and coquettishly played an old-school ragtime piano solo(The Tom and Jerry Show).
But the gig was not about showing off her piano skills and styles. The challenge she set herself in her third album was to “stretch the possibility of the trio”, as she told me at a brief interview last year. “I realized that all these instruments can sing the melody as well as playing percussive rhythm.” This led to her ambitious Music for Three-Piece Orchestra, a jazzy symphony of 4 parts, which the trio played non-stop, Hiromi pushing Martin Valihora on drums and Tony Grey on bass guitar into impressive solos.
Hiromi is a gutsy 27 year-old Japanese girl who constantly stretches her horizons, both musically and geographically. The trio is about to create their new album, to be released next year. They deserve more than just one night in London next time.

Wednesday, September 13, 2006

Vertavo Quartet at Presteigne Festival

27 August 2006
St Mary's Church, Leintwardine


Britten and Vasks at Leintwardine
Vertavo Quartet

Peteris Vasks: String Quartet No.4
Benjamin Britten: String Quartet No.2 in C, Op36

プレスタイン・フェスティバルというのは、ウェールズとイングランドの境に近いあたりのプレスタインという町を中心に開かれる芸術祭。緑豊かな田舎の、いろいろな村の教会などを会場にして、コンサートが催されます。地方のイベントといっても、その質の高さで有名なのだとか。

私は、その地域のラドロウという、なぜかグルメなレストランが多いことで有名な町の近くにいる知り合いの家に泊まりに行き、たまたま隣の村の教会で開催されたコンサートを聞きにいったのです。

映画に出てくるような、美しいイギリスの田園風景の中、物語そのまんまの教会が。演奏者は、ノルウェーの若手女性カルテット。曲目は、イギリスを代表する作曲家ブリテンの作品と、今回のフェスティバルでフィーチャーされている、リトビアのPeteris Vasksという作曲家の作品です。

私はエストニアに行った時に思いましたが、このバルト3国とか、北欧って、本当に音楽性の高い国なんですよね。このリトビア人作曲家の弦楽四重奏曲、すばらしい!なんだか、映画のワンシーンが目の前に浮かんでくるような、すごく映像的な曲だと思います。うわーっと、いろんなイメージがわいてきて、すばらしい。
一転ブリテンの曲になったら、なんだか小難しく聞こえて…今回は、Peteris Vasksさんの曲に出会ったのが嬉しい。作曲家本人もきていて、なんだかサンタクロースを思わせる、大柄なおじ様で、片言の英語で挨拶。私もコンサート終了後にお礼を言いに行ったら、言葉がわかるのかわからないのか、ちょっと恥ずかしげな感じが好印象でした。

Wednesday, August 16, 2006

Terence Blanchard

15 August 2006
Pizza Express Soho
London



トランペットを吹く友人に誘われていったコンサート。
このテレンス・ブランチャードは、とても大柄で、同様に大柄なドラマーやベーシストと一緒にノシノシという感じでステージに現れ、「暗い夜道で会ったら恐そう」と思ってしまいます。
でも、そこから溢れる音楽は、とてもクール。そして、あったかいハートの持ち主だと感じさせます!
メンバーのオリジナルの曲紹介でも、ひとりひとりを大事に引き立て、かつ全体をひとつにまとめるおおらかさ。
ピアニストだけが、か細い白人の若者なのだけど、彼のオリジナルの曲をひいた後などは、「おまえ幾つだよ、22歳?その若さで、こんな百万回も失恋したことがあるような切ない曲つくりやがって。まったく23歳になったらどんな曲つくるんだよ。俺はこの世にいたくないよなあ」なんて感じ。
さらに、ドラマーを「テキサス出身」と紹介し、とたんに‘ブッシュ’を連想した観客の反応に、「うん…そうだろ、俺もそう思うよ。明るいテキサスのイメージがなくなっちゃったよなあ。こいつには全然関係ないんだけどさ。本当に今アメリカで起きていることには腹がたつよ。君たちも賛成してくれるかい?いいねえ。こういうこと、今ウェブとかでいうと、すごい反論がきちゃってさ」
なんとなく、観客にとっても‘兄貴’みたいな感じになってきます。

私は名前を知らなかったのだけれど、スパイク・リーの映画の音楽などを担当していて、世界屈指の実力はトランペット奏者。でも、たとえば同世代・同じニューオリンズ出身のウィントン・マルサリスに比べると、知名度は低いかも…コンサートの会場だって、あちらは大ホールで開くし。でも友人にいわせると、「映画とかのサントラで早くからお金を稼いだから、今はこういう小さい会場で好きなように演奏してるんじゃないかな。」とのこと。

クリス・ポッターの時と同じ、ピザ・エキスプレスでの演奏だったのだけれど、今回は最初からぴりっと観客の気持ちをつかんで離さず、同じ会場でもすごく違って聞こえるもんだなあ!と思いました。ウエイターのサービスだってよく思えちゃうんだから、不思議。


www.terenceblanchard.com