The Dream of the Blue Pines

Experience live music and performances in London (and in other places...)

Wednesday, August 16, 2006

Terence Blanchard

15 August 2006
Pizza Express Soho
London



トランペットを吹く友人に誘われていったコンサート。
このテレンス・ブランチャードは、とても大柄で、同様に大柄なドラマーやベーシストと一緒にノシノシという感じでステージに現れ、「暗い夜道で会ったら恐そう」と思ってしまいます。
でも、そこから溢れる音楽は、とてもクール。そして、あったかいハートの持ち主だと感じさせます!
メンバーのオリジナルの曲紹介でも、ひとりひとりを大事に引き立て、かつ全体をひとつにまとめるおおらかさ。
ピアニストだけが、か細い白人の若者なのだけど、彼のオリジナルの曲をひいた後などは、「おまえ幾つだよ、22歳?その若さで、こんな百万回も失恋したことがあるような切ない曲つくりやがって。まったく23歳になったらどんな曲つくるんだよ。俺はこの世にいたくないよなあ」なんて感じ。
さらに、ドラマーを「テキサス出身」と紹介し、とたんに‘ブッシュ’を連想した観客の反応に、「うん…そうだろ、俺もそう思うよ。明るいテキサスのイメージがなくなっちゃったよなあ。こいつには全然関係ないんだけどさ。本当に今アメリカで起きていることには腹がたつよ。君たちも賛成してくれるかい?いいねえ。こういうこと、今ウェブとかでいうと、すごい反論がきちゃってさ」
なんとなく、観客にとっても‘兄貴’みたいな感じになってきます。

私は名前を知らなかったのだけれど、スパイク・リーの映画の音楽などを担当していて、世界屈指の実力はトランペット奏者。でも、たとえば同世代・同じニューオリンズ出身のウィントン・マルサリスに比べると、知名度は低いかも…コンサートの会場だって、あちらは大ホールで開くし。でも友人にいわせると、「映画とかのサントラで早くからお金を稼いだから、今はこういう小さい会場で好きなように演奏してるんじゃないかな。」とのこと。

クリス・ポッターの時と同じ、ピザ・エキスプレスでの演奏だったのだけれど、今回は最初からぴりっと観客の気持ちをつかんで離さず、同じ会場でもすごく違って聞こえるもんだなあ!と思いました。ウエイターのサービスだってよく思えちゃうんだから、不思議。


www.terenceblanchard.com

Monday, August 07, 2006

BBC PROM: National Youth Orchestra

5 August 2006
Royal Albert Hall, London


Stravinsky: Symphony in Three Movements
Janacek: Taras Bulba rhapsody for orchestra
Sibelius Pohjola's Doaughter: symphonic fantasy, Op.49
Sibelius: Symphony No.7 in C major, Op.105

このオーケストラの演奏家は、全員19歳以下。主に16-17歳ですが、若く13歳くらいの子もいるそうです。全国から厳しい選考をへて選ばれたメンバーで、総勢160名という大人数。なぜかハープ奏者が5人もいました。

これは夏の風物詩であるBBC主催のプロムという音楽祭の一貫です。ロイヤル・アルバート・ホールは、いわゆるアリーナ席の部分が立ち見になって4ポンド(1000円弱)と、非常に気楽にクラシックが楽しめるお祭りです。私は会場のてっぺんの安い6ポンドの席にいましたが、周囲には音楽家の卵とおぼしき若者がひしめいていて、同胞の演奏に真剣に耳をすませているという感じ。演奏家の家族たちもいるようで、なんとなく普段のプロムよりさらにアットホームな雰囲気がただよっています。

でも、音楽は実に本格派で、この国の演奏家たちの層の厚さを感じさせます。どこぞの国の名前ばかりのオーケストラよりずっと上手です!指揮は、BBCプロムではおなじみのコリン・デイヴィスです。内輪の話だと、若者演奏家たちには「変なおじさん」という感じで、難しいらしいですが。

曲目はストラビンスキーやシベリウスなど。私はヤナチェックの曲がとても好きでした。途中パイプオルガンが加わると、このホールのオルガンはものすごい大きさなので、その音がオーケストラをかき消すほどでしたが。
しかし、この若さ、のびのび感!最初は多少硬くも感じられたけど、聞いていてすがすがしいです。いやあ、若いっていいなあ…なんて思ってしまうのは、私がオバサンだから?周囲の音楽家の卵たちも熱心に拍手をおくり、さわやかでした。

Friday, August 04, 2006

Carlos Acosta : Tocororo – A Cuban Tale

4 August 2006
London Coliseum



キューバ出身の世界屈指のダンサーのパフォーマンス、と薦められていきました。1973年生まれのカルロス・アコスタは、イギリスのメディアでは「キューバのビリー・エリオット」などと称され、ロイヤル・バレエのプリンパルをつとめ、アメリカ、イタリアなどでも高い評価を得ているダンサーです。
私は特にバレエ好きではないのですが、この公演は彼のオリジナルの振り付けによる「キューバの物語」、キューバの音楽と踊り満載、というのに惹かれました。2003年にキューバで初公演以来、イギリスやアメリカで大好評を博した舞台の再演です。

キューバといえば、日常に音楽と踊りが染み込んでいる、という印象があります。私のジャズ仲間も何人かキューバにいって、感激して帰ってきました。この公演は、その町の雰囲気をロンドンの老舗オペラハウスで再現する、という感じです。
スクリーンに映し出されるキューバの田舎の光景。小さな子供とおじいさんの姿。村を離れて、都会へと向かう少年…そして舞台は若者達が踊り集うハバナへと移り、そこにたどり着いた田舎者の青年は、物笑いにされながらも、やがて恋をし、ワルと闘い、皆に受け入れられていく…と、物語としてはかなり‘ベタ’な感じ。
それが台詞なしに踊りで展開していきます。音楽は5人の生バンドがパーカッションから歌までこなします。若者たちの群舞シーンは、ミニのワンピース姿の女性とジーンズにTシャツの男たち8人で、ちょっとウエストサイド・ストーリー風(古いな)。フェロモンあふれるサルサを踊ります。色男のチンピラなどのコミカルなキャラも。そこに加わる田舎青年のトコロロ(カルロス・アコスタ)は、最初は正統派の‘ダサイ’バレエを踊るのですが、だんだんにサルサのリズムも入ってきて…心情の変化が、踊りのスタイルで表現されます。
やがて自信がついてくると、クルクルといつまでも回転し、ピョンピョンと飛び回り… 群舞の中にあっても、ついつい目がいってしまうあたりが、さすが‘スター’性があります。
バレエ・ダンサーというと色白でか細いイメージですが、アコスタは浅黒く筋肉質のダンサーで、跳躍がダイナミック。保守的なバレエ界の人種の壁を破ってプリンシパルになっていった人ですから、存在感があります。もう日本でも人気があるかな…と思ってウェブ検索したけど、まだ一般的には知られていないようですね。そのうち「アコスタ様」とか呼ばれる日も近いのでは。

1時間半の舞台は、さすがのキューバのパワーで飽きませんでした。人間の肉体とは、こんなにしなやかで、瞬発力があり、高く跳べるものなのか…見ていると、ものすごく自然で簡単そう。でも翌日ジムに行ってみて…それは幻想とわかるのでした。


この公演のサイト(ダンスが見られるクリップあり)http://www.eno.org/whats-on/whats-on.php?id=11

カルロス・アコスタのサイト:www.carlosacosta.com